ベルサイユ宮殿前の死闘 [Paris]

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ベルサイユの長い列。帰り2時を回ったときも列は有った。恐るべし。

ベルサイユ宮殿の最寄り駅に着くと、お兄さんが『チケット!チケット!』と叫んでいる。
どうやら向かいの建物で入場券を販売しているらしい。早速そこに行き、窓口のマドモアゼル
に大人1枚と頼むと料金は19.5ユーロだという。確かワンデイパスは18ユーロのはず。
聞くと、コミッションが含まれているとのこと。そうそこはエージェントだったのだ。
僅かな金額で一瞬迷ったものの、ばからしくもありそこでの購入をやめ、ベルサイユ宮殿
の切符売り場へたどり着くと、ほぼ並ばずに買えた。

しかし、問題はその後だった。入場待ちの列が万里の長城のように続いていたのだ。
バチカン美術館以来の長い列だ。外は炎天下。こりゃ日焼けと体力消耗は覚悟しといたほうが
良さそうだ。時はちょうどフランスの子供たちの遠足シーズンらしく、お揃いの帽子を被った
子供達があちこちにたくさんいる。列に並んだ外国人旅行者はすることもないので暇つぶしに
その子供達の写真を撮ったりしている。そこでシュールな光景に出くわした。

前に並んでいた6人の中国人グループ(中国銀行の傘を持っていた)の中の一人に
年の頃50代中盤の尊大風おやじがいた。赤のゴルフシャツに73分け、パンダサングラス
という正統派チャイニーズトラベラーのいでたち。カンフー映画でカンフー服に身を
包んだ師匠が手を後ろでに組んで佇むお馴染みのポーズがトレードマーク。
赤シャツも他の外国人旅行者に刺激を受けたのかヌヌッと前に出ると小学生の一団に向かって
カメラを向け動画を撮り始めた。

最初は怪訝な顔をしていた一団だが、その中の一人の悪ガキが赤シャツに向かってカンフー
の真似事を始めた。すると、それに呼応するように他のガキ達も一斉に『アチョー、
ハイヤー』などと口々に中国語のモノマネをしながらでたらめカンフーの動きをし始めた。
一気にあたりが騒がしくなり、何事かと外国人旅行者の視線が一気に集まった。

いっぽう、尊大赤シャツは顔色一つ変えずに仁王立ちのままそのカンフーキッズの姿を
カメラに収めていく。さすが中国人。少々のことでは動じない。”我世界中心有”のごとく
微動だにしない。その頑なさがおかしい。シュール過ぎる。
横から見ると、怪獣赤シャツが小人の集団に向かってレーザービームを浴びせている
ようにも見える。ははは、傑作だなこれは。

あまりの面白さににこの場面を動画に収めるのを忘れたのが悔やまれる。

その日ベルサイユを見学し終わって一番印象に残ったのがこの死闘だった。
それが少し悲しい。

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祝 パリ上陸!のはずが、マッドマックスに着いてしまった [Paris]

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この土地のそれ以外の写真は、その後の災難が降りかかる可能性が否めないためあしからず

6月4日に無事リヨンからパリに到着した。
物心ついた頃から一番行きたかったところだぞ。どれほどこの瞬間を待ちわびたことか。
本来なら長年の労をねぎらう歓迎の花束と踊り子のセレモニーが待っていてもいいはず。
ところが、着いたパリはのっけから厳しかった。

これからパリに約25日居るので定期券を買うことにした。
1〜5ゾーンまでの1ヶ月定期約118ユーロ。地下鉄、近郊電車、バス、トラム、何でもござれ。
これさえあれば怖いものなしと窓口で購入したのはいいものの写真を貼れときた。
むむ? そんなもの用意してないぞと答えたら、パスポートのコピーでも可だとさ。
それから、小生のコピー屋捜索が始まった。

パリリヨン駅の周囲をガラガラを引きながらどれだけ彷徨っただろう。
栄光の初パリ上陸の達成感に酔いしれる間もなく、獲物を探し求めるコウモリの
ごとく怖い形相でパリの町を徘徊するアジア人が一人。
そこにはイメージしていた華やかなりしパリはなかった。

散々探し回り、地球を3周した辺りでさすがに根を上げた。
お初の土地でコピー屋にすんなりたどり着ける奴はいない。リヨン駅に戻って、おとなしく
"I"と書かれたインフォメに駆け込んだら、居合わせた女史が死んだ魚のような目で、『すぐそこ』
と近くを指す。その先にはなんと無造作にコピー機とおぼしき物体が置かれていた。
やいっ、俺の2時間を返せ!!!

20セントを叩きつけるように投げ入れて取ったコピーは、ほとんど顔が判別出来ない
ほどの真っ黒に塗りつぶされていた。おおっ、俺はこんなコピーを取るために
地球を3周も歩いたのか。この劣悪な出来上がりのために。
心を冷たい風がすーっと吹き抜けていった。
頭にきてそれを定規も使わず指でちぎって幼稚園児の貼り絵レベルの状態で貼りつけた。
ざまーみろ!?

それから地下鉄を乗り継いで、これから9日間住む住まいのある駅の地上に出て、
唖然とした。そこには、あの核戦争後の暴力が支配する世界を描いた”マッドマックス”
の世界が横たわっていた。
思わず『まじかよ!』と口ずさんでいたと思う。
(参考までに現場は、メトロ7号線 Aubervilliers Pantin Quatre Chemins駅)

鋭い目つきをした野郎どもがうじゃうじゃとバーの前にたむろってる。
中近東、インド、アフリカ系にアジア系。しかも男ばっかり。
あたりにはスパイシーな体臭が漂っている。
むうっ。
これはマッドマックスそのものだ!
長年恋い焦がれていた俺のパリが世紀末の町に化けた瞬間だった。

良い子の教訓ソノ一:思い入れはほどほどにしときましょう(裏切られたときの反動がでかい)
良い子の教訓ソノニ:人を外見で判断しちゃあいけません(誰とでも仲良くね)

とにもかくにも、俺のパリ生活の幕が切って落とされた。

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